偽王子と嘘少女


「…っはぁ、はぁ。やっと、会えた」


息が荒れていて、クールなキャラのかけらもない。


希子もいるのに、素を出してもいいのかな。


私、希子に本当のことを話しちゃったって、藤堂くんに言ってないのに。


「とりあえず、私帰るね。お邪魔っぽいし」


私に有無言わさず、手を振って藤堂くんの横を通り過ぎていく。


「えっ…ちょっと、希子!?」


慌てて追いかけようとするが、藤堂くんの真剣な眼差しが視界に入り、行こうにも行けない。


「どうして、ここにいるって知ってたの?」


ふくれっ面で、腕を組みながら問う私。


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