偽王子と嘘少女
おーい、と答えを催促してみると…
「大丈夫だろ、まだ5時過ぎだし。それとも何、期待してんの?」
期待なんて…。
藤堂君の言葉に急に恥ずかしくなって、無意識に顔が熱くなる。
「するわけないじゃん、高校デビューのくせに!」
「お前もな」
「………くっ!」
何も言い返せない。
だって、本当のことだから。
それが悔しくて、またねの一言も言わずに、公園を後にした。
後から追いかけてくる様子もない。
なにそれ、本物の王子様だったらもっと優しい態度取るのに。
いくら俺様キャラを演じているからって、全然かっこよくないんだから!
もう絶対に関わりたくない。
私は、イライラしながら藤堂くんを考えていた。