偽王子と嘘少女
だって、あの紫水くんだよ?
私にとっては、神のごとく素晴らしきお方。
そんなまるで別世界の人間と、こんな平凡な地味女子がメールのやり取りなどしても良いのだろうか。
答えなど、考えなくてもわかる。
ダメだ。
やっぱり、出来ない…!
でも、ひたすら頭を悩ませていたそのとき。
ティロン。
「うあっ…!」
自分の手の中にあるスマートフォンが、ブルブルと音を立てて震えだしたのだ。
急な衝動に、声が出るほどびっくりする。