偽王子と嘘少女


「ああ、それならさっき先生に会ってさ。お母さんから『今日は休む』って電話があったらしいよ」


休む…?


そんな!


あんなに元気だったのに、どうして…。


「…もしかして、私のせいかな」


つぶやくように声に出すと、雅が何があったのかと尋ねてきた。


思い当たることをすべて話すと雅は、かわいそうに、と口にした。


「どういう意味?」


「だって、仲が良かったかぐやだからずっと応援してきたわけでしょ? それが今さら、本当は私も好きでしたー、なんて言えるわけないじゃん。今まで隠してきたってことは、これからもずっと言わないつもりだったんじゃないの?」


「えっ…」


私だから応援してくれた…。


これからもずっと言わないつもりだった…。


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