偽王子と嘘少女
「まあ、誰にでも1つや2つくらい、知られたくないことってあるよねー」
私の耳には、もう雅の言葉なんて頭に入ってこない。
希子…ごめん、ごめんね。
紫水くんを思う気持ちは、希子も同じだったのに。
「…雅! 私、具合悪くなった! 頭が痛くて、お腹も痛い! だから…ちょっと早退してくる!」
「はあ!? そんな…まだ朝だよ?」
驚きの声を上げ、不思議そうに目を向ける。
「でも、いいの。たとえ、不自然だと思われても、サボりだと思われても、いい…大切な友だちのためなら、そのくらい!」
「………かぐや」
ガッツポーズを挙げると、雅はフッと笑って机の上のかばんを私へ投げる。