偽王子と嘘少女
「迎えに来たよ」
真剣な思いを伝えたいから、決して笑わずに言った。
「なんでっ……今、学校じゃ…」
戸惑いを隠せない希子を見ているたびに、なぜか冷静になってゆく私がいる。
「それなら、希子もでしょ。家で制服着て、何やってんの…?」
「ちがっ…! 私は、その…」
制服だけじゃない。
髪も、いつものように結んである。
涙を隠すためにやったであろうメイクさえ。
「…ごめん、かぐや。今日は、帰ってくれない? ちょっと、1人で考えたいから」
「やだ」
「ええっ…!」
突然のわがままに驚いている様子。
そうだよね、いつも優柔不断な私を引っ張っていってくれたのは、希子だもの。