偽王子と嘘少女
紫水くん、と私が言うたびに。
頑張って、と希子が言うたびに。
よく分からないけど、黒い感情が生まれてたりいたのかな。
どうして、気付いてあげられなかったんだろう…。
「ここ、座って。飲み物とかいる?」
リビングに着いて、希子に真っ先に言われた。
私が首を横に振ると、希子も前に座った。
「…言いたいこと、あるんでしょ? いいよ、何でも言って」
希子の言葉に、私は甘えさせてもらうことにした。