偽王子と嘘少女


「希子は、いつも優しかった。


私の隣で、ずっと紫水くんとの恋が実ることを応援してくれてたね。


嬉しかったよ。


だからこそ、自分のことしか考えられずにいたのかな。


希子が同じ景色を違うようにを見ていたなんて、思いもしなかった。


紫水くんのこと好きだったなんて、思いもしなかった。


どんな気持ちだった?


私が紫水くんと仲良くしているとき。


悲しいとか、私だったらいいのにとか…


言ってくれればよかったのに。


私は紫水くんのことが好きだけど、それと同じくらいに希子が大好き。


だから、希子の笑顔がなくなるようなことは絶対にしたくないし、だからといって無理してまで笑っていられるのも嫌。


自然体のままで、希子らしい希子でいて欲しいんだよね。


これからは、友だちっていうだけじゃなく、恋のライバルとしても仲良くしていきたい。


それでいいかな、希子」


< 167 / 273 >

この作品をシェア

pagetop