偽王子と嘘少女
ね、と大きな意味を見せると、希子はうっすらと涙を浮かべて微笑んだ。
「ありがとう。本当にありがとう、かぐや。私のこと、嫌いにならないでくれて…許してくれて」
「許すも何も、希子は何も悪いことしてないでしょ。それに、このくらいのことで嫌いになんかなれないよ」
だって、友だちだもの。
かけがえのない、大切な友だち。
「じゃあそろそろ学校へ行こうか」
「えっ…でも私、今日休むって連絡入れちゃった」
数時間前のことを後悔しているらしい。
でも、大丈夫。
「なんとかなるよ」
根拠なんてない。
上手くいくとは限らない。
それでも、良くない結果になろうとも、希子の隣なら、どんなことでも乗り越えられる気がするんだ。
希子の家の玄関を開けて、眩しい光の下で、私は希子に微笑みかけた。