偽王子と嘘少女
いつもはどんなことがあっても冷静になのに、やっぱり希子も乙女なんだなぁ。
『わ、分かった…! 今年は3人で行こう!』
「うん、そう言ってもらえて嬉しいよ!」
夏祭りの日が、ますます楽しみになる。
今年は3人か。
私と、希子と、それから…。
そこまで考えると、大事なことを思い出した。
「ごめん、希子!」
「…はえっ!? なに、急に」
「実はね…」
あの話には続きがあって。
「初めて意見があったね」
私がそう言ったとき、藤堂くんは微笑み返さなかった。
真剣な表情で、私を捉えた。
こっちモードか、なんて思いつつも、嫌な感情をどうにか抑え、場に合わせる。