偽王子と嘘少女
藤堂くんなら、友だちいっぱいいそうだし、モテモテなんだから女の子たちと行けばいいのに…!
「だめ、か?」
私が落としたちりとりを拾うようにしゃがみ、上目遣いで言い放つ。
くはっ……!
こいつ、高校デビューのくせに顔だけは整っているから、上目遣いが妙に様になる。
もう少しで私も惚れそうになるところだった。
危ない、危ない。
でも、断る理由も特にないし、いいかな。
なんとなくで答えてしまったそのときの私を、今の私はものすごく後悔している。
よくよく考えてみれば、希子や紫水くんに許可を取っていなかった。
希子はまだいいとして、紫水くんにとっては、藤堂くんと会うのがあのショッピングモール以来ということになる。