偽王子と嘘少女


「希子も浴衣かぁ。紫水くんは甚平だし、私も、そういうの着てくれば良かったよ…」


黄色の水玉ワンピースを着ている私が言う。


「大丈夫だって。藤堂くんもいるんだから、まだ分かんないでしょ」


「うーん…それもそうか」


このくらいで納得してしまうなんて、どうやら私は単純らしい。


なんて話していると、藤堂くんらしき人が歩いてくるのが見えた。


目を凝らしてみると、おそらく和服ではない様子。


「やった!」


そのことに、なぜかガッツポーズをしてしまった。


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