偽王子と嘘少女
「なんか聞かれたら、具合が悪いとか適当に言ってくれて構わないから」
「ああ、うん」
けど、本当にこれでいいのか?
当たり前のように流れていく時間のなかで、一つの疑問が浮かんだ。
男のくせに、格好良いことも出来ずにただ女子に先導されて、それでいいのか?
きっとあいつなら…紫水なら、何かするかもしれない。
そのまま、サヨナラなんて、しないかもしれない。
頭では分かっているのに、何をすればいいか、全く浮かんでこない。
芹澤の悲しくも深い背中を見送りながら、後悔することしか出来ない、情けない俺がいた。