偽王子と嘘少女
かぐやside
「どこか行きたいところとかある?」
「へ? あ、えっと。その…」
…気まずい。
親友との告白を見てしまった以上、紫水くんと話すたび、さっきのことが思い出される。
紫水くんはどんな答えを出したんだろう。
「あ、かき氷だって。柊さん、食べる?」
少し歩いたところの大通りに、たくさんの屋台が並んでいる。
その一つを指差して、笑顔で言った彼。
「そうだね。食べよっか」
もしかしたら、私のテンションがいつもと違うから気を使ってくれているのかもしれない、と思った私は、素直に紫水くんの提案を受け入れることにした。