偽王子と嘘少女
「あ、いろいろ味があるみたいだよ。どうしよう、迷っちゃうなぁ」
「紫水くん、甘いの好きだもんね。特にいちごとか」
微笑ましく笑いかけながら、無意識に共感アピール。
さりげなくしたつもりが、紫水くんは意外にも鋭かったようで。
「え…俺、いちご好きって柊さんに話したことあったっけ?」
「あ、えっ? う…うん。いや…あの、で、電車で、いちごオレを飲んでいるの見かけた、っていうか…」
「なんだ、そうだったんだ」
どうにかリアルっぽい嘘をついてみたけど、信じてくれたなんて。
なんだかんだで、やっぱり鈍感だった紫水くんです。