偽王子と嘘少女


結局、紫水くんは練乳いちご、私はメロンにした。


ちなみに、メロンのかき氷にはさくらんぼが乗っている。


「いいなぁ、メロン」


隣を見れば、羨ましそうにこっちを眺める紫水くん。


「食べる?」


「えっ、いいの?」


かき氷を差し出すと、小学生のように、笑顔を眩しくさせる。


可愛いなぁ。


緑色のかき氷に刺さったスプーンに氷をのせて、ゆっくりと口に運ぶ。


その瞬間、紫水くんに再び良い笑顔が宿る。


「ん、美味しいー!メロン味もいいよね」


ありがとう、と言ってかき氷を返してくれる。


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