偽王子と嘘少女


私はもう、紫水くんのその表情を見れただけで、お腹いっぱいなんだけどな。


なんて思いつつ、スプーンを握る。


そのとき、さっきの紫水くんの行動を思い出した。


紫水くんは、たしかこのスプーンを使っていたよね!?


ということは、次に使う私は、紫水くんの唇と、かかかかか間接キスをすることにー!?


ひえああああーー!


そんな…そんな彼女みたいなこと、元地味子の私からしたら、夢のようで、私には出来ないっ!


(というか好きな人と夏祭りデートしてること自体、夢のようなんだけど)


「どうしたの、食べないの?」


なんて、喜び恥ずかしんでいると、隣から心配の目。


「た、食べるよ。食べます、今!」


これ以上うだうだしていたら、紫水くんを不安にさせることになってしまう。


早く食べなきゃ…!


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