偽王子と嘘少女
「あ、柊。まだ、残っていたんだ」
教室から入ってきたのは、藤堂 忍くん。
ちょっと俺様系で、クールだったり口が悪いところとかもあったりするけど、そこが格好良いらしく、女子にかなり人気な男子の1人。
私は、自分づくりに精一杯だから、他の誰かを格好良いとか思う余裕なんてないけど。
「今から帰るとこだよ。藤堂くんは?」
「俺も、荷物まとめたらもう帰る」
「そっか、じゃあまた明日ね」
可愛らしい笑顔で、彼に手を振る。
これで、今日の仕事も終わりだー!
なんて考えながら、気を抜いたそのとき。