偽王子と嘘少女
紫水くんが私の口へ入れたスプーンを!
そ、それって、紫水くんも間接キスしたってことに…!?
そんなの、嬉しすぎて、幸せすぎて、もう何も出来ないよ…!
「いちご味も美味しかったでしょ?」
「う、うん…本当に、美味しかった」
…あと、ものすごく甘かった。
その言葉だけは、なぜか声に出なかった。
いや、言えるわけないよ…。
こんなに胸が高まってくるの、生まれて初めてなんだもん。
自分の溶けかかったかき氷に刺さるスプーンを手に取り、ゆっくりと口に運んだ。