偽王子と嘘少女
「お前を迎えに来たんだから」
それから、いろんなところを回った。
どれも楽しくて、素敵な思い出。
長いようで短かった紫水くんとのデート。
だけど、告白することなんて出来なくて、この関係を崩さないままでいたい、と思ってしまった。
わがままで、意気地なし。
そう思われても、仕方ないくらい。
「じゃあ、そろそろ合流しようか」
紫水くんは、希子にメールする。
私が藤堂くんの連絡を持っていないのだから、しょうがないっちゃしょうがないんだけど、それでもなんだかもやもやする。