偽王子と嘘少女


どうして、一緒に見たいのだろう。


私や藤堂くんじゃなく、希子と。


『その祭りの最後に花火が打ち上げられて、それを一緒に見た人たちはずっと一緒にいられる、とかいう昔ながらの言い伝え的なのがあるの。あまり有名じゃないけどね』


お祭りに来る前、藤堂くんに言ったあの伝説。


紫水くんがもしそれを望んでいるのなら。


願っているのなら。


「私、迎えに行ってくる!」


「はあ!? おい、柊!」


藤堂くんの大きな声が聞こえる。


大丈夫だって。


希子は、私の大切な親友なんだから。








「ここにいたの?」


「かぐや! どうして…」


希子の家の近くの公園。


ここなら花火も見れるし、最悪1人で見る予定だったのだろう。


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