偽王子と嘘少女


「いつから、紫水くんのこと好きなの?」


「…分かんない。小学生のとき…2年生くらいだったかな? 同じクラスでさ、名前の関係もあって、席が近かったの。それで、よく話すようになって、気付けば好きだったって感じ」


「へえ」


気付けば好きだった。


同じだ、私と…。


「なんだろうね…特に目立つような特徴もあるわけじゃないのにさ、いつも目で追ってて。それから、同じクラスになるたび、嬉しくなって…中学生になっても、同じ。いろんな橙里を知ることで、どんどん好きになって」


「………希子」


「でも、かぐやも橙里を好きになったって聞いて、諦めようと思ったの。かぐやは本当に大切で、一番の友だちだから…幸せに、なってほしくて。たとえ橙里のためだとしても、自分を変えようと努力している姿とか、本当に嬉しかったんだよ?」


「………うん」


「それなのに、抑えきれなくて…橙里への気持ち。合コンのこと、メアドのこと…少し、意地悪しちゃった。合コンのとき、本当は連絡なんてしてないんだ。約束を守らないようなひどいやつだと思って、橙里を嫌いになればいいって思って…」


そう、だったんだ。


なのに、知らなかったとはいえ、1人浮かれて、馬鹿みたい。


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