偽王子と嘘少女
気付いたときには、そこに希子はいなかった。
そっか、行ったんだ…。
よかった。
「おい、花火始まるぞ」
「えっ…」
どこかから聞き覚えのある声がして、振り向くと藤堂くんがいた。
「あれ、紫水くんたちと一緒じゃないの?」
「あまり話したこともねぇクラスメイトと、他校の知んねぇやつといたって、何も面白くねぇだろ」
「…そっか」
ということは、今日一日、あまり楽しめなかったのかな。
申し訳ないことしたなぁ…。