偽王子と嘘少女


だけど、そんな私の思いに彼は…


「俺、希子のこと好きだよ」


「………は!?」


さっきフった男の言葉か、それ!?


つい耳を疑い、真実を知るために橙里のほうを見る。


「好き、なんだけど…希子のことは、どうにも友だちとしか思えないんだ」


「えっ」


そうだったんだ。


彼に好きな人がいてもいなくても、私への告白の答えにはきっとうなずいてくれない。


絶対に、変わらない答え。


「この花火の伝説、知ってる?」


「…うん。一緒に見ると、ずっと一緒にいられるとか、いられないとか…って、それがどうかしたの?」


どうして急にこんなことを言うのだろう、と不思議に思いながらも、とりあえず答える。


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