偽王子と嘘少女


「花火は、4人で見たいと思ったんだ。今日いちにちを一緒に過ごしてみて、皆それぞれの良さを分かったし、もっと仲良くなりたいとも思ったんだ」


「………うん」


「だから、1人でも欠けることなく、俺は皆とずっと一緒にいたい。そんなこと言ったら、わがままかな…?」


そっか。


そうだったね。


橙里は昔から学級委員長気質で、『皆仲良く』が目標だったもんね。


人の思いも知らないで、ずるいよ…。


「うん。私も、みんなと一緒にいたい…橙里と一緒にいたいよ」


フられたことの悲しみよりも、遠回しでそばにいることを許してくれた喜びのほうが、何倍も大きかった。


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