偽王子と嘘少女


たとえ恋人じゃなくてもいい。


恋愛感情がなくてもいい。


隣にいることを、許してくれてありがとう。


「まもなく、本日のラストイベントでもある夏花火が、夜空を色とりどりに染めあげます! 感動の瞬間まで、もう少しお待ちください」


そのようなアナウンスが聞こえたころ、赤く目を腫らしたかぐやと、そんなかぐやを迎えに行っていた藤堂くんが帰ってきた。


きっと、いっぱい泣いたんだろうなぁ。


でも大丈夫だよ、かぐや。


私と橙里は、『ただの友だち』なんだから。


空に輝くたくさんの大きな花は、私の心も明るく照らしてくれた。


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