偽王子と嘘少女
「ただ正直な思いを伝えたかっただけ」


かぐやside


夏休みが空けた。


思い出といった思い出は、あの日の夏祭りしかない。


だけど、結局紫水くんと希子がどういう関係になったのかは、聞けないままでいる。


『付き合うことになりました!』


笑顔でそんなこと言われてしまったら、絶対に立ち直れない…。


ずっとくよくよ考えて、気づけば9月。


希子は、どんな顔して登校してくるのかな。


見たいような、見たくないような。


なんて教室に入ってくると、希子も藤堂くんもまだ来ていなかった。


緊張のあまり、早く来すぎたかな。


< 216 / 273 >

この作品をシェア

pagetop