偽王子と嘘少女
「俺が好きなのは、お前だけだから」
夏休み明けのテストも終わり、もう返却の頃になった。
「さて、テスト返すぞー!」
熱血な担任は、なぜか嬉しそう。
「何があったんですかー?」
「どうしたんですかー?」
そんな姿に、クラスの声が飛び交う。
「気になるか!? 実はなぁ、クラスの平均点が学年で最下位だったんだよ」
「はあ!?」
「意味分かんねー」
予想外の答えに、思わず笑みがこぼれるクラス一同。
「だから宿題を倍にして出すことにしたんだが、それを苦しそうな表情をして解いてくるお前らの顔を想像したら、なんだか笑えてきてな」
「うわ、まじかよ!」
「さいてー」
「ありえなーい」
一気にブーイングの嵐。
きっと私のテストもあまり良くないんだろうなぁ。
前日にあんなことがあったから、全く集中出来なかったし。