偽王子と嘘少女


「あれは1回限りの約束でしょ!? 今回もなんて聞いてない!」


「そんなの知るか」


彼は持っていたほうきを置いて、いつかの日のように私を壁に追い詰めた。


「ちょっ、ちょっと! そういうのはだめだって、言ってん…………」


そこまで言いかけたとき、唇に熱を感じた。


いきなりの衝動でついつむってしまった目を開けると、目を伏せたきれいな彼の顔が近くにあった。


たったその情報しかなかったけれど、キスをされているんだってって分かるのに、時間はかからない。


しばらくして離された私の体は、熱でいっぱいいっぱいになっていた。


< 238 / 273 >

この作品をシェア

pagetop