偽王子と嘘少女
「あれは1回限りの約束でしょ!? 今回もなんて聞いてない!」
「そんなの知るか」
彼は持っていたほうきを置いて、いつかの日のように私を壁に追い詰めた。
「ちょっ、ちょっと! そういうのはだめだって、言ってん…………」
そこまで言いかけたとき、唇に熱を感じた。
いきなりの衝動でついつむってしまった目を開けると、目を伏せたきれいな彼の顔が近くにあった。
たったその情報しかなかったけれど、キスをされているんだってって分かるのに、時間はかからない。
しばらくして離された私の体は、熱でいっぱいいっぱいになっていた。