偽王子と嘘少女
「どうして…」
「したかったからした。それだけだ」
「………っ!」
なんで、そんなこと…
私に…
そのとき。
夏祭りのあの日、藤堂くんが話していた可愛らしい女の子が頭をよぎった。
彼女がいるんでしょ?
私以外にも仲いい子がいるんでしょ?
だったら…
「ただキスがしたかっただけなら、他の人にしてよ! 俺様ってそういうことじゃない!」
悔しかった。
悲しかった。
私と藤堂くんはそんな軽い関係だったの…?