偽王子と嘘少女
「なに、暗い顔してんだよ。そんなに俺が嫌か?」
個室に入り、偶然か意図的なのか、分からないけれど、目の前に座ったのは藤堂くんだった。
「もともと、紫水くんが来るっていうから来ただけだし」
「紫水って誰?」
表モードのまま、不機嫌そうに聞いてきた。
関係ないでしょ。
そう言おうとしたのに、横から希子が。
「かぐやの好きな人だよ」
ニヤニヤしながら、嬉しそうに言う。
「へえ」
なんでそんなに、嬉しそうなんだろう。