偽王子と嘘少女
「掃除お疲れ様…」
止めどなく溢れ続ける涙を拭いて、私はその場を逃げ出した。
君の隣にはいられないよ。
こんな残酷なこと、もう味わいたくない。
「待てって…!」
その瞬間、彼は走り逃げる私に後ろから抱きつく。
「勝手に逃げんな、まだ話は終わってない」
「はあ…? い、意味分かんない」
高校デビューのくせに。
キャラクターのくせに。
うそ偽りの性格で、いつまでも自分を演じている。
私も同じのはずなのに、今日ばかりはそんな彼の姿にイライラする。