偽王子と嘘少女
「…そんなの、藤堂くんには関係な「あるよ」
言葉を遮られ、首に回していた腕を解く。
そして向き合った君は。
「…柊が好き」
短い台詞。
大きな思い。
初めて見たと言っていいほどの、強い真剣な眼差し。
私はその瞳に吸い込まれるように、不思議な空間へと意識がふわふわしていたのだった。
「…でも、彼女いるんでしょ?」
「は? 俺に?」
「うん、だって夏祭りのとき…」
お団子頭の可愛らしい女の子。
楽しそうに話していた藤堂くん。
私ははっきり覚えているよ。