偽王子と嘘少女
「ああ、あいつは幼なじみだよ。お前にとっての紫水と同じくらい、大切な存在」
「そう、なんだ」
「でも安心して、恋愛感情は何もない。友だち感覚だから。それにまあ、あいつには恋人がいるしな」
な、なんだ…良かった。
って、なんで私こんなにほっとしてるの!?
彼女じゃないことに安心してるの!?
「俺が好きなのは、お前だけだから」
今にも爆発しそうなくらいの真っ赤な顔。
これは藤堂くんだけじゃなく、きっと私も。
「もし俺の告白を受け入れてくれるなら、明日本当の柊を見せて」
「本当の、私…」
「じゃあそういうことだから、また明日な」
手をひらひらさせて、優しそうに笑う君。
本当の私を見せる。
それはきっと、そういうことなのかもしれない。