偽王子と嘘少女
「何があっても、きっと乗り越えられる」
「どうしよう、希子…」
私は友の名を呼んだ。
こんなとき、頼れる相手といえば唯一の親友、希子しかいない。
そう思ったのだけど、肝心の本人は返事をしない。
返事をしない、というより、希子がそばにいないのだ。
こういう必要としているときに限って、いつもふらっといなくなる。
とは言っても、いつも必要なんだけどね。
今日は確か…図書館に忘れ物をしたっぽい、んだっけ?
しょうがない、行ってみるか。