偽王子と嘘少女
「そっか…やっぱりね」
全てを話し終えた後、最初に発した言葉がそれだった。
「やっぱりって?」
「俺は知ってたよ。彼が柊さんのこと好きだって」
「うそ!?」
紫水くんって、そんなに勘が鋭い人だったっけ?
「あの夏祭りの日。彼と一緒にいるときの柊さんは、とても楽しそうにしてたよ。笑顔が眩しくて、きらきらしてて…俺の知らない柊さんだった」
悲しそうに、切なそうに。
「そのとき思ったんだ。きっと、この人には敵わないだろうなぁって」
「えっ」
「彼が君に対する好きの気持ちの大きさも、柊さんが彼に対する好きの気持ちの大きさにも」
「…紫水、くん」
暖かく微笑んで、そっと私の手を取った。