偽王子と嘘少女


「柊さんなら大丈夫だよ。何があっても、きっと乗り越えられる」


ね、と優しく頭を撫でる紫水くん。


それだけで、魔法にかかったかのように、不思議と勇気が出る。


何もかもすべて、君のおかげ。


「ありがとう、紫水くん。本当に、ありがとう…!」


「うん、頑張ってね」


私は鞄を持って、その場を駆け出した。


紫水くんへ。


中学生のときから、ずっと好きでした。


いつもいつも私に優しくしてくれて、ずっと仲良くしてくれて。


本当にありがとう。


あなたと出会えたから、私は変わることが出来た。


臆病で弱虫な私と、サヨナラすることが出来た。


だから、今度はそれを、別の人に与えてあげられるような人になりたい。


その相手が、藤堂くんなんだ。


藤堂くんのために、出来ることを精一杯してあげたい。


そう思ったの。


見てて、紫水くん。


私頑張るから。


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