偽王子と嘘少女
「おはよ、かぐや」
声をかけてきてくれたのは、いつもの希子。
「あ、おはよう」
私の容姿については何も言わない。
ただ笑って、頑張って、と一言エールをくれた。
だから私も、ありがとう、といつものように、何事もなかったかのように言葉を返した。
教室につくと、皆が一気にざわめく。
「誰?」
「あんなやついたっけ?」
「芹澤さんの友だちなんじゃない? 一緒に登校してきたし」
悪口やら、不信感やら。
さまざまな言葉が飛び交うけど、そのどれもが私に対するものだった。
でも私は、いつものように自分の席につく。
もう決めたんだ。
このくらいじゃ、へこたれたりしない。