偽王子と嘘少女
「…ねぇ、もしかしてかぐやちゃん?」
クラスメートが、おそるおそる尋ねる。
そんなに怖がることないのに。
いや、違う意味で怖いのかな。
小さく頷くと、目を見開いて驚く彼女。
「そ、そうなんだ…」
その子はすぐさま私のもとを離れ、友だちとまたひそひそ話し出す。
やっぱり、か。
結局、皆の判断基準は外見だけ。
本当の私を知ろうとしてくれる人なんて、誰ひとりとしていない。
はあ、とため息をこぼすと、教室中がより一層ざわめいた。
今の私には、ため息を吐く権利さえもないわけ?