偽王子と嘘少女
かえって呆れた私は、反抗の目で皆を見渡す。
だけど、私の目線と交わることもなく、皆は少し後ろを見ていた。
不思議に思い、皆と同じように振り返ると、そこにいたのは…
地味な格好をした男子だった。
ううん、違う。
あれは、きっと…本当の藤堂くん。
第一ボタンまで閉めたワイシャツ。
何も遊ばせていない、サラサラヘアーの綺麗な黒髪。
初めて出会ったときの藤堂くんと、まったく同じ姿だった。
嘘じゃないかと、メガネをあげて目をごしごしとこする。
だけど、何度見てもやっぱり君だ。