偽王子と嘘少女
私は緊張で震えながらも何とかその場に立ち、口を開く。
「あ、えと…南沢高校の、2年生…柊です。…好きな、食べ物は…ハンバーグです…よろしく、お願いします」
「ぶっ…!」
懸命な自己紹介に、吹き出して笑ったのは、目の前のやつただ1人。
せっかく頑張って話したのに、その頑張りを笑うなんて、ありえない!
「何笑ってんの!?」
「ははっ…いや、何も学校の自己紹介じゃねえんだからさ。『柊です』って」
「…しょ、しょうがないじゃん! 合コンとか初めてなんだもん!」
あんただって、どうせ初めてでしょ!?
そう言ってやろうとしたが、私たちが高校デビューだということは2人の秘密だと思い出し、やめた。
さすがに元真面目さんの私だから、約束を破るなんてことはしない。