偽王子と嘘少女
「じゃあ、信じなくてもいいです」
「えっ」
「はあ!?」
私と園川さんの驚きの声が、ふいに重なる。
「どういうこと…?」
彼にしか聞こえないような、小さな声で尋ねる私。
すると藤堂くんは、まっすぐな瞳を私に見せた。
「大丈夫だから」
優しく微笑んで、また視線を皆に戻す。
クールで俺様。
皆のそんな思い込みは、この表情を見たら絶対信じてくれる。
次に藤堂くんが何と言おうとも、彼の言うように、きっと大丈夫。