偽王子と嘘少女


はあ、とため息をついて、また席に座り直したそのとき。


「柊さん!」


「かぐやちゃん」


「かぐや!」


私の名前を呼ぶ、数え切れないくらいの声の数。


何事かとうつむいていた顔をあげれば、そこにいたのはクラスメートの皆。


園川さんを筆頭に、全員いるんじゃないかっていうくらいたくさんいる。


「どうしたの、皆…?」


私が尋ねると、間を開けずに。


「ごめん、本当にごめんな!」


「私たちもちょっと混乱してただけなの!」


「見た目が変わっても、ずっと柊さんは柊さんなのに…本当にごめんなさい」


「藤堂くんも、本当ごめんね」


< 265 / 273 >

この作品をシェア

pagetop