偽王子と嘘少女


次々に謝る皆。


いきなりのことで、どう受け取っていいか分からない。


ふいに目があった希子に助けを求めると、いつものように、にっと笑った。


大丈夫、そのままでいい。


そう言っているように、聞こえた気がした。


「ううん、全然気にしてないよ」


「本当に?」


「本当だってば」


「…でも、今まで通りにまた仲良くして欲しいって言ったら図々しいかな?」

確かに今の私は、皆が知っている今までの私とは違う。


でも、それでも受け入れてくれるなら。


ちょっとだけ、ただちょっとだけでいいから、わがままを言わせて。


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