偽王子と嘘少女
「…あ、あのねっ」
「ははは、はい…!」
思い切って話を切り出してみたものの、2人ともこうなってしまっては、もうどうしようもない。
真っ白になってしまった頭をどうにか立ち直らせながら、言いたかったことを思い出させる。
「えっと、えっとね…」
「うん」
「…き、今日は、ありがとう」
「い、いえ! 柊…さんが、勇気を出したおかげだよ」
「でも藤堂くんがいなかったら、きっと今も殻に閉じこもったままだと思うから…」
だから、だから藤堂くんには、すごく感謝してるの。
私を救ってくれた…助けてくれた。
大切な大切な恩人だから。