偽王子と嘘少女


やめておいたほうがいいよ、あいつはそういう人じゃないから。


猫かぶった元ガリ勉の小心者だから。


笑顔の裏側を睨みつけながら、静かに思うのだった。




おっと、私も他人の心配している場合ではない。


というのも、合コンが始まって数十分くらいたったので、席替えをしようと誰かが言い出したのだ。


今まで、女3男3で向かい合って座っていたため、せいぜい話すのは、目の前の藤堂くんと隣の希子くらいだった。


知り合いが近くにいたということもあってか、嫌だった合コンもなんとか楽しめてきたのに、席替えをするなんて。


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