偽王子と嘘少女
「…柊」
「えっ?」
後ろから声が聞こえ、振り返ると藤堂くんが真剣な眼差しで、こっちを見つめていた。
なんだろう、この雰囲気…。
もしかして、告白とか?
気持ちを高ぶらせ、少し口角が上がっていたかもしれない。
それがいけなかったのだろう。
油断した私に、目の前の彼は口を開いた。
「俺は、お前の秘密を知ってるから」
「………っ!?」
「じゃ」
それだけを言うと、私の横をスッと通り、何事もなかったかのように、教室を出ていく。