偽王子と嘘少女
「あれは、行き過ぎだって。少女漫画の読みすぎ」
「う、うるせーな! 俺だって、なんだかんだで合コン初めてだし…それに、お前があんなことされているの見たら、どうしていいのかわかんなくなって…」
言葉が小さくなってゆく。
目の前にいる藤堂くんは、俺様な藤堂くんではなく、高校デビューする前の君に戻っていた。
弱くて全然格好良くない、ただの真面目くん。
それは、今も変わっていないようだ。
「ありがとね」
「お、おう…」
頑張って必死にキャラを保とうとしている様子の君は、なんだか可愛く見えた。