偽王子と嘘少女
「ねえ、じゃあさ、テスト勉強付き合ってくれない? 2週間……2週間だけでいいから。お願い!」
手のひらを強く重ね合わせパチンと音を鳴らし、頼み込む。
でも希子は、頷くことなく笑って言った。
「藤堂くんと勉強会すればいいじゃん」
「は!?」
希子は何を言っているのだろう。
たった今、『無理させてごめん』と謝ったばかりなのに。
「嘘でしょ!? この間見たよね? なんであんな嫌いなやつと勉強しないといけないの!? 絶対やる気出ないって!」
「ちょ、ちょっと。冗談だってば! そんなに否定しなくても…」
あ、なんだ、冗談だったのか。
そりゃそうだよね。
からかい上手なんだもん、希子は。
「じゃあ、今日からよろしく! 希子」
希子と一緒に、2週間頑張ろう!
そう思っていたのは、この時間だけだった。