偽王子と嘘少女
「芹澤なら、来ないよ」
淡々とした口調で、当たり前のように述べる。
「なんで!?」
希子は約束を破るような子じゃないし、遅れるけど確かに来ると言ってくれた。
なのにどうして…。
「芹澤の委員会終わり、ばったり会ったら、俺も図書館に行くように、勧めてくれたから」
「はあ!?」
藤堂くんとは、勉強会しないって言ったじゃん!
なんてことをしてくれたんだ、希子め!
余計なおせっかいはいらないって!
心の中で、希子に対する怒りをぶつけながら、表では平常心を保っている。
だけど、藤堂くんは私の表の姿を本心だと感じとったらしく、隣の空いている席に座った。